モチベーションとインセンティブ

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン

【57】モチベーションとインセンティブ

恋、仕事、お金、健康、子育て、コンプレックスの克服などなど、なにかにつけてライフスキルのありかたは影響します。

そのライフスキルを育むには、学習よりも行動が大事です。行動にはネルギーが必要です。
特に自分の願望を叶えるには、実現の難易度に比例したエネルギーが必要です。
なにかと大変です。「エイ!ヤー!」の勢いと、「これでもか!」の持続力、「まだ、まだ」の忍耐力などなど自分の内なる力をかなり使うことになります。
内なる力は使えば使うほど鍛えられるので、どんどん使っても心配ないので大いに使いましょう。
使ったときは疲労もあって、もうイヤだと思うけれど、回復すれば以前以上の力がついているところが回復力の不思議です。

心配なのは、使わない場合です。
いわゆる運動不足と同じ現象。
全然使わないと、ほら寝たきりで動かないと起こる現象、床ずれと同じで、弱るだけに留まらず悪くしてしまいます。
あきらめる経験を重ねていると精神が痛んでしまうのです。
そうすると大変です。
エネルギーの不足を感じて、できない、できない、ムリムリ病になってしまうのです。
実は不足ではなく、余っているエネルギーを使わずにストレスに変えてしまっているだけですが、ムリムリと思い込んでいるのでそんな弱々しいことになる。
耐久力も弱くなって、外に向かって爆発させるべきエネルギーを自分の内で爆発させてしまうことになります。
イライラ、プンプン病の怒りん坊になってしまう。
周りは迷惑だけど、実は自分が一番泣いている、心ではね。
涙の重みだけプンプンの量になる。
そんな悲しいことにはさせない決意で書いているので、つまらないと放りださずに、読んでくださいね。

まずなにはともあれ、自分の願望を実現するエネルギーである「モチベーション」とは何かを知っておきましょう。

モチベーションは心理学で使われる用語です。
日本で広く一般化したのは90年代末頃です。
1998年に開催された『FIFAワールドカップ』フランス大会に日本が初出場、サッカーの人気が出始めたときに、マスコミによって頻繁に使用したのが始まりです。
以来、日本ではスポーツの分野だけでなくビジネスの分野でも頻繁に使用されています。

モチベーション(motivation)は、動機づけと訳されています。
一般的には「やる気」「意欲」「士気」などの意味で曖昧に使われています。
やる気は「モチベーション」とか「動機づけ」より断然分かりやすいですよね。
それなのに「やる気」と言わないのは、やる気で説明できないことがあるからで、
「動機づけ」とした翻訳はモチベーションを理解するうえで役に立ちます。

ある人が仕事に対して「一生懸命働きたい」あるいは「目標を達成したい」と意欲を持っているとします。
他のひと全員がそうなら、「そんなものでしょう」で安直に一件落着ですが、そうでないから「なんで?」となります。
ある特定のひとだけが、理由もなく一生懸命になっているとは考えにくい。
“なにか”働く理由や目標達成に努力する意欲の源である理由があるはずだと考えられます。
確かに意欲的に行動をしている人には、「みんなに認められたいから」とか「もっと進歩したい」とか、「お金がもらえるから」とか個人的な理由が発見出来ます。
動機が先にあるから、意欲が後からわいてくるという考え方です。

だったら意欲的でない人でも、意欲的になる動機を与えてあげたら、意欲的に行動するはずだという発想に端を発しているのが「動機づけ」です。
心熱くしてガンガン取り組むような動機がなくても、一生懸命に働き、学びたくなる原因となる動機を用意してあげると、意欲を高められるのではないかと考えます。
あるいは漠然と望んでいることも、しっかり意識したら、望みも叶うと考えます。
それは、その通りです。

自分の経験で、こんなことがあります。
ジムで体脂肪減量に取り組んでいました。
数値目標を設定しているものの、数ヶ月してもなかなか効果が出ませんでした。
いくら数値目標があっても漠然と取り組んでいたのが間違い。
気にしていないミスと油断が運動を台無しにしていたのです。
それに気がつくこともないままのある日、通っているジムの美人の栄養管理士の方に、食事のアドバイスを受けました。
そのときに、「3ヶ月後には体脂肪15%、体重75キロにします。」と宣言しました。
勝手に約束してしまったのです。
すると褒められたいから、指導されたことを実践する、運動を工夫するなど行動が変わりました。効果テキメンできました。
その成果で期限までに目標達成してしまいました。
動機を自分で作って、やる気を高めたわけです。
とはいうものの、山あり谷あり、思うようには進まないのが現実です。
効果が出るとうれしいけれど、やってもやっても思うように進まない壁もあります。
途中でイヤになることは繰り返し起こります。
それでも恥はかきたくないし、なんとか約束を果たしたいのでムチを打つこともできる。
自分はこれだけで達成できてしまいました。
栄養管理士の方も報告を受けると、自分が人の役に立っている思うとうれしい。
彼女も仕事のモチベーションが高くなりWIN-WINの関係が作れた次第です。
でも、この場合、モチベーションが高くなったというより、「褒められる」というインセンティブを自分で自分に用意したというほうが適切です。

モチベーションに似た意味の言葉に「インセンティブ」があります。
モチベーションとインセンティブは、似ていますが内容はかなり違います。
インセンティブが役割の自分に働きかけるのに対して、モチベーションは本当の自分に働きかけます。


 広く浸透している「インセンティブ」は、「意欲刺激」とも言われています。
「モチベーション」は「本来の自分」にアクセスして心の内面から意欲を高めます。
一方、「インセンティブ」は,報酬などを期待させて、「役割性格の自分」にアクセス、外側から意欲を高める働きをします。

インセンティブは「報奨金」「奨励金」などの名目で使われるのが一般的です。
おばあちゃんが孫に「肩を叩いてくれたらお小遣いをあげる」と言って肩たたきををさせる時に使うお小遣いがインセンティブです。
こどもは味をしめると、お小遣い欲しさに「おばあちゃん、肩叩いてあげようか」と自発的に接してきます。
表面的な現象だけ見ていると、内面からの場合も外的な力の場合も似ています。
しかし持続力が違います。
インセンティブを与える側は、たいていの場合、習慣化させるきっかけに使おうとしますが、うまくいくことは少ないようです。

周囲から刺激されてやる気になるインセンティブより、本当の自分にアクセスして内面から意欲を高めるモチベーションは、本当の自分を引き出すので、行動は能動的ですし、長期の継続力があります。
図のように、本当の自分とは、人間の身体でいうなら神経のような役割をしています。
その周囲にある「役割の自分」とは、身体に置き換えると骨といえます。
「役割の自分」は、仕事の役割によって、後から作られていく仕事上の性格です。
神経がやられたら身体が思うように動かなくなるのと同じように、本当の自分が機能しないと「役割の自分」もぜい弱になりがちです。
じぶん力をたくましくするには、本当の自分を鍛えたほうがいいことは間違いなしなので、インセンティブで左右されない誠実さを守りたいものです。

モチベーションを高めるとは、本当の自分を檜舞台に出してあげるエネルギーのようなものだといえます。
晴れの舞台で活躍する姿を想像するとワクワクするものですが、なかなか勇気がいるものです。
オリンピックで活躍するアスリートだって、大観衆の前で演奏する音楽家だって、やっぱり緊張します。
簡単にモチベーションがあがらなくても全然不思議ではありません。
体験を多くしてゆっくり慣れていくといいので、たくさんの機会を持つようにしたらいいですね。

時たま「モチベーション」をやる気を出させて人を巧みに使う意味にとる方もいます。
しかしそうではありません。
自己実現」で得られる喜びと、それに向かう気持ちを大切にすることが重要なのです。自他ともに人を尊重する心が土台です。
モチベーションを高めることは、自分の深いところから外へ外へと拡大していく可能性を秘めた行動だといえます。
自分への信頼、適切な自尊感情、積極的に自己表現ができる自立心、さらに自分がつながっている共同体(カップル、家族、町内、会社、組織、国など)の役に立とうする欲求の原動力になります。

しかし、モチベーションはガラスのように落とすと壊れます。
「この前まであんなにやる気になっていたのに、どうしたの?」と思うことがよくあるでしょう。
ほとんどの場合、物事はやる気だけで成就できないので、うまくいかないと落ち込んでしまい、やる気がやれない気に豹変します。
そこで壊れない工夫として効果を発揮するのが計画性です。
モチベーション、インセンティブのどちらも、計画性と一体にしておくと壊れないガラス細工に変わります。

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