自分の長所を知らずに短所にふりまわされていないか

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン

ブログ 愛ピDIRECT「ライフスキルで自分を動かす」は、ひとが健全に生きて行くために世界保健機構が定めた「ライフスキル」を仕事を通して身につける方法についてレポートしています。
ライフスキルは、生きる力であり、技術です。
人は基本的な生きる構えの影響を受けていて、ひとによって不足、アンバランスがあるものです。ブログ 愛ピDIRECT「ライフスキルで自分を動かす」は、「ライフスキル」の不足を補いバランスを調整するために仕事、学業、人生の大事な場面などの機会を通して身につけることをめざしています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【76】自分の長所を知らずに短所にふりまわされていないか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ライフスキルは思わないところで力を発揮します。

想像は現実ではないが、現実は想像の産物です。
想像した短所を気にしていると、現実の長所は想像している短所が障害になって見えなくなります。

自分が勝手に想像したことを現実と受け止めて自己実現にトライしない。
ライフスキルの未熟ですが、その様子を客観的に見たらバカとしか思えないはずです。でも本人はバカと思わない。想像ではなく合理的に考えたと思いこんでいるからです。

うまくいかないのは、なにか別に要因があると信じ込んでいる。
そうかも知れませんが、そうではない場合が多いものです。
自分が選択したことなので、うまくいかない要因は自分にあります。
それが分っている人が、反省から力を得て、競争に勝つし自己実現もできます。
でも、それがなかなか分らないのが普通なのです。

ことがうまく行かない人ほど先々のことを心配します。いくら心配しても心配するだけでは意味がありません。現実に反映させないと考えても仕方がないのです。
心配しているだけなら、心配通りの進行を後押ししているに過ぎません。
この態度には、ライフスキルのひとつ、目標設定スキルの不足があることは間違いありません。

屋根に穴が空いていて、このままだと雨が降ったら水が入り込むと考えている人が、そのまま放置しておいて、雨が降ったら案の定水浸しになったという話と同じです。
こんな信じられないことを自分が選んでいると知ったらびっくりですよね。
そのびっくりを行動化するから、人間ってつくづく判らない。

たとえば企業間の競争なんかでも「競争が進み淘汰が起る、起る」とか想像で言うけれど具体的に対策として手を打たないと想像が対策に反映されることはありません。
なにも対策しないで、手を打たなければ、淘汰されて当然ですが、そういうことを何十人もの従業員を抱える会社のトップが平気でやっています。
びっくりすることだけど、最初に気がついた段階ですでに、自分で淘汰されるように選択しているわけです。
ネガティブな想像しかしなくて、対策も打たず、自分の想像は正しかったと納得している。実際は全然違うけれど、それが判らない。
想像は現実ではありませんが、現実は想像の産物です。
想像が現実を作っただけで、現実は想像と違う結果を出す可能性があったのです。

どうして行動を起こす選択をしなかったのでしょうか?
違う想像はできなかったのでしょうか?
短所ばかりが気になり、長所に気が回らないために、具体的なアクションを起こす機会が見えなかったのです。ライフスキルの不足がもたらす問題です。

ひとには基本的な生きる構えがあります。これは無意識です。
そこから創造した習慣化したひととの交流の仕方があります。
交流の仕方を通じて、ライフスキルが身につきます。
ライフスキル相応の生き方ができるようになります。
生き方は、かなり意識できますが、無意識の部分が相当にあります。
意識と実際のズレが生じて、ストレスも生じますが、それは成長の欲求です。
生き方の上でいろんな意識が活動しています。
意識できる生き方は心がまえになって表面化します。
モチベーションは意識できるひとつで、マネジメントやコントロールのスキルもあります。
ひとはこれらの力を使って生きています。
その総合したものが、ライフスキルによる内なる力である「じぶん力」です。
自分の具体的なアクションは、「じぶん力」によって起こっています。

列車に乗って車窓から見える風景は楽しいものです。
車窓は両側にありますので、進行方向に向かって異なる風景を観ることができます。
たまたま左列に座ったので、左の車窓が見やすい。
そこから見える景色は良くなくても、右列には、素晴らしい景色が広がっている。
こんな場合、どうしますか。
左を見続けるのも自分の選択ですし、右に転じるのも自分の選択です。

目的志向型のポジティブ志向の人なら、ひたすら、いま、この瞬間にできることを懸命に行動します。問題があれば調整します。

たとえばダイエットしたいと思って食事や運動のコントロールをします。
続けていると効果が出て成果はあがるものです。
ところが運動や食事制限が続かず途中で放棄してしまうことが少なくありません。
効果が出ていないと感じるからです。
やっていて効果がないことはありません。
効果がないとしたら、こなしている内容に問題があります。
自身が一日に消費する総エネルギーを超えるカロリーを摂取していると減量はできません。
減量が起こるバランスをとらないままにやっているからです。
知識不足もあるでしょうが、無計画に思いつきだけで始めたことで、最初から本気だったのかどうか。
あるいはストレスから軌道がズレたことに気がついていないのかも知れません。
言えることは、目標達成のステップでいう「考えている段階(達成しないといけないかな、あるいは達成できなくても仕方がないかな。)」での行動に終始していたはずです。
本気になっていないので、焦点がズレて自分の力を使っていません。
だから「できなかった」ではなく、「しなかった」が正しい。
でも、自分では一応取り組んだつもりです。
それでも「できなかった」「本気で行動しなかった」という結果と意志の曖昧さだけを突きつけられる形になります。
それが自信を奪います。
こだわりますが、主体性を取り戻すためにも「しなかった」が正しい。

問題は、プロセスへの関心が抜け落ちていることです。
「プロセスに関心を持つ」とは、言い方を変えると「励ます」ことです。
励ましは結果に向かう途中で行われるものだからです。
結果しか気にしていない状態とは、自分自身への関心が弱い状態なのです。
自分自身とは、行為そのものです。

ですから、自分への関心を強めていたら、自分の行為が気になります。
「こんなことをしていていいの?」「ここまでは最低やれる」というように行動そのものに注目します。
結果にしか関心がない、結果良ければOKの世界は、なにをするかはどうでもよい世界です。
だからダイエットの場合、怪しいサプリメントに手を出して死ぬ人まで出てくる。
行動そのものに関心をもっていたら、結果は出ていなくても、今日も予定の運動メニューをこなしたとか、その行動を重視できるようになります。
つまり長所に目がいく。
結果が出ていない短所もあるけれど、長所と短所の比較から対策を考える機会も作り出せる。つまり、どうしたらいいのか、気づきが起こります。
これが自分への信頼になり、次へ進む力になります。

結果しか見ていないと、この気づきが起こりません。
プロセスへの注目がないから、自分を責めるか、他者や環境を責めるかしかない。
責めてもなにも変わりません。結果は行動の結果でしかないからです。
責めても変わらないと、行き止まりです。
自分を励まさないでいると、辿り着く場所はそこしかない。

私たちは「ひとを育てるには、叱るより長所を見つけて伸ばしてあげるようにしましょう」と教わってきているので、概念としては分かっている方が多い。
それにしても長所を褒めるのと、伸ばすのは似ていて違います。
長所を褒める関係とは、目上と目下の関係です。
では、対等であればいいのかというとそうではありません。
褒めるとは、プロセスへの関心ではなく、結果への関心そのものです。
問題は、プロセスへの関心の有無なのです。
長所を見つけて伸ばそうとしたら、達成のために行動している良い点を見つけます。
なぜなら、そこから気づきを起こさせるのが大切なのです。
先に説明した通りです。
気づきによって、次に進む力、継続する力、できるまでやめない力を発揮させるのです。

これをセルフ・マネジメントで、自分が自分に適用するには、自分が自分のコーチであるという認識を持つことから始まります。
コーチの最も重要な役割は、成功させることですが、それはプロセスへの関心によって実現します。
プロセスから長所をピックアップし、それがどのような効果を上げているのかを知り、
逆に短所にどのような弊害があるのかを知り、その因果関係に気づき、どうするのがもっとも最適なのか、その答えを導いて実行の継続をすることです。

こんにちの学校教育の大きな過ちは対等であるとか、叱ってはいけない、とか<キーワード>だけが意識され、因果関係を含んだトータルな仕組みがないからだと思います。

・ しなくていい失敗はしなくていい
・ 有形無形の励まし
・ 感謝する心がまえ
・ 集中する

親や学校が、これらを真摯に受けとめ、親、学校、本人がそれぞれチームワークで取り組めば、結果もさることながら大切なライフスキルが身につきます。
江戸時代の寺子屋が、まず問題にしたこと、つまり礼儀を身につけていないと学問を習うことが叶わないという文武両道の基本を、長所を知る手がかりにしたいものです。


Copyright (C) 2002-2008 GENKIPOLITAN All rights reserved