怖くなって集中をやめていないか

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン

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【75】怖くなって集中をやめていないか
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ライフスキルのありかたは、現実への対応の仕方に影響を与えます。
努力の感じ方と現実のズレは、ライフスキルに関係した自意識の持ち方から生まれます。
グラフはパレートの法則(20:80の法則)に則って描いています。

グラフ1のように、エネルギーを投入すれば一応の成果はあがります。
スポーツ、勉強、仕事、何事でも、全体を100とした場合、80%までの成果は比較的容易で、メキメキと上達するものです。


問題はその先です。
ある時点からは壁があるかのように変化が見られなくなります。
努力しても、しても、成果が乏しく無駄に感じます。
続行してもしなくても同じような気がします。
本当にこんなことに集中してムダにならないのか、不安が恐怖に変わっていきます。
ひとにとって、命そのものであるはずの時間を使っているのですから無理ありません。
一方、成果の方は、少し頑張れば、たいていの人が届く範囲なので、周囲に同じ程度の人はたくさんいます。
努力したはずの自分と周囲に大差がないので、それが自分の「力」として役立つ気もしません。
グラフ1で成果を80%以上獲得した領域は、エネルギーの投入に比べると効率の悪いものに見えます。
他者と違いの出る80%以上の領域について、コストパフォーマンスの悪さを指摘するようになります。
あるいは特別な才能のあるひとの領域と判断したりします。
中止することを合理的な判断として、やめることに抵抗を感じない人も出てきます。
努力の中止が起こります。

ある程度のレベルからは、変化がないわけでなく、少し進歩するためにはかなりの時間とエネルギーが必要になるものですが、不安から判断が鈍るのです。

グラフ2は、グラフ1と同じことを視点を変えて表現したグラフです。
グラフ1が努力量の推移から成果を観察したのに対して、グラフ2は成果の推移から努力の量を観察しています。



一方、他者との違いが出る領域、たとえば競争力がついたところに到達してから振り返ると、成果の実感はグラフ2(エネルギー100のあたり)のように感じます。
エネルギー80の努力を超えたあたりで急速に他者と差がついたことを実感します。
「継続は力なり」と言われる由縁です。
みんなが努力をやめた後からの努力の違いが、競争力があると呼べるだけの違いになるのです。

2つのグラフはひとつの現象が物の見方、感じ方で変わることを表現しています。
グラフ1は自分の努力を中心にして観た状態、グラフ2は成果を中心にして観た時間の実感です。
ライフスキルのひとつストレス対処スキルが弱いと、自分を中心にして考える傾向はあるので、自分の努力ばかりが気になります。
これが「他人事」状態です。
自分のことが気になるのに、他人事の仕事とはおかしな話に思えます。
それにしても自分の行為に対する報酬(メリット)が気になり、目的から意識がそれてしまうために、心ここにあらずになり他人事になってしまうのです。
恐怖心が邪魔をしています。ライフスキルの影響が出ます。

先の◆「【22】自分にできることをできないと決めつけていないか」でも触れましたが、結果にこだわっているひとほど、結果にこだわらず行動して、逆に結果にこだわっていないひとほど結果にこだわった行動をします。
このように逆転現象が起こるのがひとの心理のメカニズムです。

私たちは不安や恐怖の感情を放置しておくと、自意識を過剰にしてしまい、ライフスキル、じぶん力を弱めてしまいます。
不安や恐怖は誰にでもあります。恥ずかしいことではなく、むしろ不安がないほうが問題です。
無理に克服しようとするほど意識が強まり、内なる不安や恐怖を煽ってしまいます。
不安や恐怖に適した感情処理は、いまこの瞬間の行動への集中です。
その間には「考えても仕方のないことは考えない」があります。

「どうにかなる問題に悩む必要はない。どうにもできないことは悩んでも仕方がない。」ダライ・ラマ14世の言葉ですが、ライフスキルを育む上で有効な考え方です。
行動こそが大切だと思い知らされる思いです。
そして行動するとは、タイムマシンがない世界に暮らす者にとって、過去への行動も、未来への行動もなく、いまこの瞬間の行動以外にはありません。
現実に形があるわけでも、そこに座っているわけでもない、不安や恐怖は、考えても仕方のないことの最たるもので、考えるから不安や恐怖は起こります。
いまこの瞬間の行動は、それをベストなものにするために、準備する力につながります。
不安や恐怖がなにも創造しない、つまり現実に反映しないことを考えると、天と地ほどの開きがあります。

このように自分の努力に対する報いに注目すると、それに留まらず「できそうにない」という悪いイメージを呼び起こしてしまいます。
一方、目的の達成を中心にして考えると、目的の実現度が気になり自分の努力の不足が気になります。
ライフスキルが育つことから、じぶん力がアップして、またライフスキルが育つという理想的なスパイラルに入ります。
心はここ、つまり自分の目標にあり、「自分の目標」と向かい合う状態になります。
ネガティブな感情に支配されていると、何事についても、最初のグラフのように見えることでしょう。
コストパフォーマンスが悪く思える20%の努力を続けるのは、愚かに思えるかも知れません。
わずか20%の攻防です。
社会では卓越性こそが価値ですが、それは20%の差といえます。
言い換えると、誰も気にしないことにこだわる執拗さがじぶん力の品質に変化を与えます。

圧倒的な能力の優位性で、他者に勝る人は、ほんの一握りしかいません。
大半は、目立たないライフスキルの効果的な使い方、毎日の積み重ねによって生じる小さな違いの集積を、大きな違いにして差別化を実現しています。
その差は生きる意欲、つまり動く意欲、働く意欲、学ぶ意欲の違いです。
それは根本的には、意欲がないわけでなく、「このくらいと見逃す程度」の違いです。

怖れは誰にもあるものです。
怖れから逃げるのではなく、いまこの瞬間への集中によって、怖れを自分の戒めとして無二の親友になるくらいの気持ちで取り組みましょう。
ライフスキルがじぶん力を牽引します。




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