権限委譲と評価のエキス

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン
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【51】権限委譲と評価のエキス
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権限の委譲は部下を持たないひとや、個人的な取り組みには関係のないテーマのようですが、委譲する場合の考え方は、自分が自分を引き受けようとする場合の責任や自律心を知るうえで欠かせないテーマです。
部下を持たないから関係ないではなく、自分と上司と関係を考えて、自分がどうすればいいのかを知り、適切な行動をすることが大事です。それは自分が自分を引き受ける場合にも通じます。


権限の委譲
 権限が委譲されるとは、部下にしたら自分の能力が向上した証明である。
 トレーニングを受けている時期とは、部下にすれば、どのような質の仕事をどれだけ多く任されるか、試されている時期。
 権限を委譲した場合、委譲した者、された者、双方に責任があります。
 権限の委譲は特定の職務に対して発生するが、一般の義務は当人の職位に対して発生する。
 権限を委譲された場合(最終の責任は委譲した側にあるので)都度の報告が義務になる。

自己顕示欲の強い、自信のない上司、部下の成長を恐れている上司は部下を潰します。
細かいことにケチをつけ、自分の存在感をひけらかすので、部下はお伺いをたてる習慣が身についてしまい自立性を失ってしまいます。
自立させるには「任せる、任せられる」経験を数多くすることが欠かせません。
任せるとは権限を委譲することで、勝手にやらせるわけでも放任するわけでもなく、任せる側の責任がなくなるわけでも軽くなるわけでもないので、実行段階では難しさを伴うものです。
たとえば部門があり、部門に各店舗が在籍している場合、部門の目標達成の責任は部門長にあります。
だからこそ部門に在籍する店長は自身の義務が果たせないことに責任を感じるものです。
反対に部門の責任者が自分の責任より、各店長の責任を重んじた場合には、店長は自身の義務が果たせないことの責任に鈍感です。自分が不快感を我慢すれば済むことだからです。
さらには達成するために必要なスキルの修得にも熱心さを失います。
また部下は権限を求めるのが本来の姿ですが、そこでも同じことが起こります。
部門長に自分が責任を負う自覚がある場合には、部下は軽々しく権限の委譲を求めません。

責任の所在のルール
 起案者、実行者は責任を負わない、決定者が負うのが原則です。
 指示や規程の結果が悪い時は、決定者または命令者または修正担当者が責任を負います。
 代行者及び委譲権限行為は、与えた者が責任を負います。
 りん議と提案とは、承認者と許可者とが責任を負う
 一般従業員の場合、責任は指示された部分(職務)についてのみ負います。
 責任は団体ではなく、常に個人が負うものです。
 責任は上司に対して負うものです。
 職務が果たせないときには、必ず不利益な取り扱いを受けることを覚悟しておく。
 マネジャーは他社で出来て、自社で出来ないために不利益が生じた場合、責任を負います。
 トップマネジメント(取締役)は機会損失の責任を負います。
 会議事項は参加者中の上位者が責任を負います。
 トップ決定によるものは、起案者が責任を負います。

この緊張と人間関係が、スキルアップやモチベーションに与える影響は非常に大きいのです。
健全な人間関係で大事なのは、親分子分のような依存させる関係ではなく、相手を信じて思いやる気持です。
義務が果たせる能力を身につけさせておくこと、不足があると感じたら速やかに追加教育を行うことです。
また自律心が身について、自立のために任せる段階に入ったら、指示命令は少なくして見守ることが必要です。指示命令しないから楽だと思うと間違いです。

評価は、数値目標の達成度を中心にした定量評価だけでなく、行動や努力など定性評価を併せて実施します。
評価についての考え方の基準は、定量・定性ともに目標管理が適切にできたかどうかがポイントです。
完璧さを求めるのは心理ですが、いくらやっても現場にバラツキがある限り完璧は無理です。
なにより従事する者の意欲が高まる評価でないと意味がありません。
完璧を求めて難解で複雑な制度にするより、考課する者のスキルアップや尺度の統一の方に力を注ぐことが大事です。

定量評価については達成度、貢献度に難易度を考慮します。
たとえば達成度100%、貢献度70%、難易度80%の場合、100%×70%×80%=56%です。
貢献度、重要度、難易度などを加味する理由は、現場の環境が同じ条件でない場合が多いからです。
たとえば商圏の立地、スペース、競合相手の存在とそのレベルと影響、施設の程度や老朽化の状態、価格要因、自社の努力だけでは補いきれないことなど様々な問題が存在しているのが一般的で、バラツキのない評価を求められないのが普通だからです。

評価はABCの三段階くらいにするのが望ましいでしょう。
精度の高さを求めて10段階程度のものする場合もありますが、それよりも評価のズレをなくすために、考課する者のバラツキをなくすことが重要です。
評価は当事者本人の自己申告、考課する者の評価の両方で行います。
ただ評価するのではなく必ず対話することが必要です。
「こんなものでどうでしょう」といった雲をつかむような感覚的な話では意欲が高まることも反省することもできません。
具体的な基準を定めておくことは欠かせませんし、「なにをどうすればどうなるのか」と理解し、基準を目標にして取り組みができるように、後だしではなく先に公表しておくことが大事です。
事実の確認、成功の結果とそのプロセスへの称賛、失敗の原因についての反省、今後のチャレンジテーマの確認について話し合います。
また評価は昇級など人事制度とつながっていることはいうまでもありません。
権限の委譲も評価も意欲を高めるために欠かせません。

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