PAC交流 三つの人格の使い方で人生は変わる

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン

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【39】PAC交流 三つの人格の使い方で人生は変わる
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ひとは誰にでも、自我の状態として「三つの心」、つまり「三つのわたし」があり、それを互いに使い分けながら、PAC交流しています。
PACとは三つの心である親ParentのP、大人AdultのA、こどもChildのCです。

● 親の心 (Parent)
● 大人の心 (Adult)
● こどもの心 (Child)

三つの心は物心ついた頃から生涯持ち続けます。

親の心 (Parent)には、父親の心(CP)、母親の心(NP)の2つの側面があります。
父親からは厳格さと批判的な側面。母親からは優しさや包容力など保護的を受けています。

大人の心 (Adult)とは、客観的、理性的、合理的な物の見方や考え方など社会生活を円滑に営む上で欠かせない公共性の高い人格です。

こどもの心 (Child)には、自由奔放なこども、自分を抑える従順なこども、2つの側面があり、従順なこどもには傷ついたこどもと支配するこどもがいます。

自分や周りの人とコミュニケーションするときは、お互い無意識に三つの心(人格)を使った言葉のキャッチボールでコミュニケーションしています。
三つの心(人格)の強弱は、同一の個人内でも固定されておらず、様々な影響を受けて変化し続けます。
しかも状況や相手で、三つの強弱のバランスは変わります。

大人になったからといって、こどもの心がなくなるワケではありません。
ひとによっては大人の心より、こどもの心の方が強いひともいます。
50才のひとでもこどものようにハシャイだりします。
15才でも厳格な親のような心が強くなることもあります。
5才の女の子でも、年下の幼児といるときには、母親からの優しさで面倒を見ることもあれば、父親のような厳格な人格で臨むこともあります。
年齢に関係なく3つの心、つまり人格を使い分けています。

たとえば社長秘書をしている女性の場合、仕事中は大人の心(Adult)を中心にビジネスライクにテキパキと仕事を進めますが、恋人とデイトしているときは母性的な心が色濃く出るかと思えば、こどもの心(Child)を使って甘えることもあります。
しかし、その甘えは、実家で母親に甘えるこどもの心(Child)とはまた違います。
それぞれの場面にふさわしい自分、つまり親の心(Parent)、大人の心(Adult)、こどもの心(Child)を使い分けています。
自分が使い分けるように、相手も使い分けています。
両者が使い分けながらコミュニケーションしますが、相手から投げかけられた心(人格)にふさわしい心を投げ返すことで、両者はスムーズな交流を可能にしています。
これを平行的交流といいます。

しかし、状況にふさわしくないキヤッチボールになると不快感が生じることがあります。大人の理性的な心を相手の大人の理性的な人格に投げ込んだときに、こどもの自分奔放な人格が返って来たら、予想しない反応に驚きます。

次のような交流の場合は爽やかです。(図:気持ちのいい交流)

「では、この資料、明日までにお読みください」(大人→大人)

「了解しました。今日中に拝読させていただきます。
資料作り大変だったでしょう。ありがとうございます。」(大人→大人)

「こちらこそ恐縮です。
お忙しいのに、時間を作っていただきありがとうございます。
よろしくお願いします。」(大人→大人)

この場合はどうでしょう。

「では、この資料、明日までにお読みください」(大人→大人)

と大人の人格から相手の大人の人格に投げ込んだはずが、

「何言ってるのよ、こんないい天気なのに、明日はドライブしたいわ、ねえ行こうよ」(こども→こども)

と、こどもの人格からこちらのこどもの人格に返ってきたら受け答えにとまどいます。
それでも、この場合、違和感があっても、こじれることはありません。

大人→大人、こども→こどもというように平行的交流が続いているからです。
(図:気持ちのいい交流)

しかし、次のような交流の場合は爽やかです。(図:気持ちのいい交流)
「また誘ってくれますか?」(こども→親)
「いいですよ、今度来たときはご一緒しましょう」(親→こども)

こどもの心から、親の心に投げかけて、親の心からこどもの心に投げ返してくると、両者の関係は温かい交流になります。平行的交流の良い例です。

これが、次のような交流になると一変します。(図:こじれる交流)
「今度来たときはご一緒しましょう」(親→こども)
「いまはそれどころではないでしょう」(親→こども)



親の心から、子どもの心に投げかけて、親の心から子どもの心に投げ返してくると交叉します。交叉する交流は感情を害し、こじれる交流になります。

このように世の中には予め暗黙のルールがあります。
投げかけたストロークをしっかり受けとめて同じストロークで返すことで感情の行き違いを防ぎ気持ちのいい交流ができます。(図:気持ちのいい交流)
話すことも大事ですが、それ以上に相手の言葉を聴くスキルがじぶん力を高めていることが判ります。
(◆「【47】大人の心から <目的志向、聴き上手、大局を観る>」参照してください。)
しかし、親しくなるほど、ルールの適用が曖昧になります。
親しき仲にも礼儀ありとは、このことを話しているわけですが、そうはいかないのが人間くさいところです。

よく目にするクレームは、お客さまが親の心から、子どもの心に投げかけてきます。
それに対して大人の心から相手の大人の心に投げ返すのが一般的ですが、やはり交叉してしまうので、いい感情を持つことができません。(図2)

お客さま:随分待たすじゃないか、しっかりしろよ。早くしろ。(親→こども)
スタッフ:申し訳ございません。ご迷惑をおかけしています。今後注意します。(大人→大人)

こういう場合にお客さま同様に親の心から、こどもの心に投げ返すと、明らかに交叉しますので、火に油を注ぐような感情的な行動の応酬となります。

お客さま:随分待たすじゃないか、しっかりしろよ。早くしろ。(親→こども)
スタッフ:申し訳ございません。これでも早くしてるんですよ。(親→こども)

(前ページの図:こじれる交流のパターン)


 図2        図3

同じクレームでも図3のように、親→大人、大人→大人と返すと交叉しません。

お客さま:随分待たされたけれど、スピーディに処理してくださいね。(親→大人)
スタッフ:申し訳ございません。ご迷惑をおかけしています。今後注意します。(大人→大人)

同じ注意をするにしても、相手を見下すことなく大人としての尊厳をもって注意した場合は気持ちよく展開します。


表面に表れるPAC交流パターンには次の3つがあります。

● 平行的交流
● 交叉的交流
● 仮面的交流

仮面的な交流とは、表に出した言葉や態度とは裏腹に別の心情を持って交流を図るものです。
感情的になって乱暴な態度をとった後、冷静になって「先ほどは申し訳ありませんでした」と謝罪します。(大人→大人)
しかし実際は心の中で“私はダメな人間です。処罰してください。” (こども→親)と考えていました。
これは、図2の大人→大人が表に出た態度で、こども→親が相手には見えない状態です。
このように表の交流と裏で起こっている交流が違う場合があります。
これが仮面的交流です。

平行になるコミュニケーションを心がけたいものですが、表面にでない交流パターンは他にも相互的交流、人格的交流、人間的交流、作為的交流、共感的交流、相補的交流、風刺的交流、功利的交流、防衛的交流などがあり、防衛的交流にはさらにいくつものパターンが内包されています。
交流分析について、「こじれる人間関係〜ドラマ的交流分析(杉田峰康 著)創元社刊」に詳しく紹介されています。
さらに同著では、ひとはPAC交流とは別にドラマ的交流について記述されています。


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