自分の選択、自分の責任

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【37】自分の選択、自分の責任
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ダイエットしたい」「禁煙したい」・・・
自らの選択に対して責任が果たせず、途中で投げ出してしまう場合に、
私たちはよく意志が弱いと言います。
意志の弱さもありますが、その目標が自分の選択であることを忘れていないでしょうか?
ライフスキルを育むうえで注意したいテーマです。



運動や禁煙を多少苦痛に感じても、自分の欲求にしたがった行動であるなら、それを中止する理由は見当たりません。
自分の心の声を聞けば途中で投げ出すことは本意でないことが分かります。
そういうと、もうひとつの心が聞こえるというかも知れませんね。
それにしても、それは心の声でしょうか?
自律心を打ち砕いた感情の声ではないかと思います。


「モチベーションを引き出す手順」で説明した「目標達成のプロセスSTEP.2の目標達成について考えている段階」、つまり「したほうがいいな」「しなければいけないな」の段階で行動していると、自分の選択である感覚が抜け落ちてしまいます。



▼目標達成のステップ

STEP 1. 目標達成を考える前の状態
STEP 2. 目標達成について考える段階
◎ 達成の難易度と満足度のバランス
◎ メリットとデメリット(気がかり)のバランス
◎ 適切な目標と具体的で適切な計画
STEP 3. 達成したいと想像する準備の段階
STEP 4. 達成するぞと実行する段階
STEP 5. モチベーション維持の段階
STEP 6. 達成による満足の段階



つまり、考えている段階は、心の整理がついていない、まだ心構えのできていない段階なので、感情の攻撃に打ち勝つだけの態勢が整わない内にはスタートしています。
自分の選択である認識が不足していると、仕方なしにやっている、なぜかよく分らないけどやる羽目になった状態になります。
 そうすると深刻な事態に陥ります。

 
 感情のノイズが入って、自分の欲求にしたがった行動であることを忘れると、自分が自分に不愉快なことをしていることに気がつかなくなります。


深刻かどうかについて、ひとは「なに」がと考えます。
どういうことが深刻で、どういうことが深刻でないのかという区別をします。
「どのようにするか」について、深刻さを思いめぐらしませんが、実はなにをよりも、「どのようにするか」のほうが深刻かどうかを言及するべきです。
なぜなら、そこには「生き方」があります。「生き方」には「自分が存在しています」


 「どのようにするか」の点で他と比類できないほど優れているからブランドになりますが、名門老舗料亭の不始末はその意味で典型的な事件でした。
客の食べ残しを使い回していた問題は衛生上の問題のみならず人格が問題視されたように、「どのように料理していたのか」が問題でした。
実は「なにをするのか」より「どのようにするか」のほうが深刻なテーマなのです。



自分の選択だと気がついていないと、することはしていても、自分から「どのようにするか」が消えてしまいます。そして、次のような態度をとりやすくなります。

● 自分にはできないと思ったり、言葉にしたり、態度に出す
● 他人やルールのせいだと思い込んでいて、他人やルールのせいにしがち
● 自分にほうびや休憩を与えすぎている
● できるわけがないのが当たり前と考え行動をストップする。
● ストレスは苦痛なものと決め付け、ストレスに耐える力が弱すぎる
● 他のことを優先しすぎて自分がしたいこと、しなければならないことに関わる時間が少ない



自分のことを他人事のように扱っている姿が浮き彫りになります。
これらは、どれをとっても自己実現や目標達成をさまたげる態度、行動です。



自分の選択(必要)を忘れると、主体性を失います。
主体性を失うとは、マネジメント、コントロールを自分から手放すようなものですので、誰のために何のためにしているのか、ぼやけてきます。
すると苦痛は苦痛以上の価値を持たないように感じます。



これは感じ方の問題ですが、客観性が弱まり、自分に対してふがいなさを感じるのに比例して、不憫に思えたりします。
このときに原因を他に求めてしまいます。
達成のために手を打つことも、自分のエネルギーを使うことも少なくなります。



すでに自分の選択であることがあやふやですから、(根拠のない)やり切れなさから、頼りたい、甘えたい、支えてほしいと依存的になり、次第に建設的な考えを歪めてしまいます。
依存心が高まるほど、引換えに主体性を失うので、自分の行動、感情、人生は他人や周囲に影響されているという考え方が強まります。
ますます自分が不憫に思えてきます。
この段階で感情を受け入れて処理してしまうと、それ以上悪いように発展しません。



処理がまずいと感情世界にどんどん入りこんでしまいます。
悪い感情は自分でも不愉快ですので、発散したくなると、感情的な判断や行動が増えてきます。

 結果が悪いのは環境や状況のせいだ。
 上司が悪いからやる気が起こらない
 労働条件が悪いからやる気が起こらない、
 やったって、どうせうまくいかない
 やり方が判らないのにできるわけがない。


感情のバランスを無意識にとろうとして正当化すると、その反動から周りのひとへの不平不満が強まります。
慢性化した不平不満があると、怒りの対象に注目することが習慣化するので、なにかにつけ自分は悪くないと思いがちです。


さらに固執すると、評論家的な態度をとることで自分の責任をはぐらかします。
はぐらかすと、辻褄があわなくなるので、自分に責任があることでも、自分を被害者の立場に置き換えて説明することになります。
三者が筋違いを指摘しても、持論を変えられなくなります。
道理が分かる人なら奇異に感じ、筋の通らない論理に苛立つことも少なくありません。
「自己認識スキル」が欠けているとそれが分かりません。


自分が自己本位であること、さらには自分が周囲にどんな悪影響を与えているかも分からなくなります。
この自己本位で依存的、自分が周囲に与えている影響が判らない人とは、幼いこどものような存在といえます。
幼いこどもは、泣けばミルクが出てくる経験を通して、すべてが自分の思う通りになるものと思い込んでいるために、思うようにならないと自分が原因だと思います。
つまり、すべてか無か、白か黒かの世界に生きています。
自己本位で依存的というのは、このこどもの世界をひきずったままなので、自分でコントロールできないことを極端に嫌う傾向ができてしまうのです。



次のような特長がそれです。

 結果の保証がないことはしたがらない。
 自分が経験していないことはしたがらない。
 自分が考えたことのないことはしたがらない。
 コントロールできそうに思えないことはしない。
 準備された状態でないとしない。



責任と向かい合うのを避ける態度が、実際の能力とは無関係に表出します。
やったことがないこと、手に負えないと感じたこと、どこから着手していいのか判らないこと、自信がないことを嫌います。
過去の経験から自分が確信できること、自分が知っていること、出来ること、保証のある安心できる場合には関心を示すものの、不安を感じることには無関心を決め込み関わろうとしなくなります。
「ステップ2 準備の段階」から進まない、あるいは、いつの間にか戻っているといった現象が起こります。



表向きは他人のせいにしますが、実は自分が一番傷ついています。
さらに傷つくのを恐れるために、仕事や課題に自分を合わすことを嫌います。
逆に、自分に仕事や課題を合わせることに専念します。
本当は、自分のためにしてはいけない行為を選択してしまいます。

自分のポリシーを曲げてまですることはないにしても、仕事や課題に自分を合わさないと物事は成就できないものです。
それを逆に、自分に仕事や課題を合わせてしまいます。
ポリシーを曲げてでもそうすることも少なくありません。
これでは、自分の不満が高まるのを、自分で後押しするようなものです。
不満はストレスとなって自分の内に蓄積されます。
自分の意志で選択しているのですから驚きです。
悲しくても、それが事実です。

良い考えは良い感情からしかうまれません。
非現実的で硬直化した態度に別れを告げて、主体性を自分が取り戻すことが大切です。
主体性を持つとは、責任に対して自分のこととして向かい合うことです。ライフスキルの成長に影響します。
ひとによっては、つらいことに思えることもあります。
でもそれは、自分を不自由から解放する作業ですから、やり遂げると想像しなかったほど元気になります。
仮に思うように進まなくても、取り組んでいる自分への信頼感は圧倒的なリアリティでもって増します。
考え方次第ですが、テレビや遊園地で遊んでいるより、楽しい作業といえるのではないでしょうか。



責任の自覚
 いかなる選択も自分自身が行っていることを自覚しましょう。
 自分の選択に対する責任感を持ちましょう。
 責任を持つこと(自己表現すること)を楽しみましょう。

責任の自覚は、目標達成のプロセスSTEP.4からスタートするためにも、依存と正反対の行動をとるためにも、必要なアプローチであり勇気の源泉です。



するべきこと、あるいは、するべきことではない。
選択を前にして、何もしない、あるいは逃げ出す方が楽な場合が多いものです。
自分に対して責任を持つことも、プレッシャーもないからです。
そのもっとも大きな代償は勇気を失う経験によって、勇気が育たなくなることです。
 ひとは、傷つくことを怖れますが、悲しみや失敗だけでなく、微笑みによってでも傷つくことを忘れないようにしたいものです。



 7つのゴールデンルールに取り組むことは、自分の内にもともと備わっている勇気と力を自分が出会う作業です。
どこかに行って見つけて持ってくることではありません。
そのために自分の選択として選び、経験でなく体験することで、感情の陰に埋もれて見えなかった力を発見し、自分の手許に引き寄せて、以降、継続して自分が使えるようにするものです。


Copyright (C) 2002-2008 GENKIPOLITAN All rights reserved