ライフスキルはマネジメントとコントロールで育む

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【59】ライフスキルはマネジメントとコントロールで育む
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ライフスキルの欠乏は自分のしたいことが判らないという弊害を引き起こします。
ライフスキルのひとつ、目標設定スキルやストレスマネジメントの弱さは、「何をしていいのか判らない、何をするにも力が必要だが自分にはそれがない。勉強するにしても何をしていいのか分らない」
よくある悩みです。
その質問に対する答えのひとつが、マネジメントとコントロール、モチベーションアップのスキルの身につけることです。

マネジメントとコントロール、モチベーションアップは三位一体のスキルといえます。

ライフスキルの集合体である「じぶん力」はマネジメントとコントロールの両輪で成り立っています。
マネジメントとコントロールは、運営する上で車の両輪のような技術です。
この両輪を有効に使うスキルが、エンジンの役目をするモチベーションです。

マネジメントは人の能力に対する調整の技術です。
一方、コントロールは、物事に対する調整の技術で、変化に対応して調整を図り続けることです。
目標達成を実現するために、計画通りに進めるものの、刻々と変化する状勢にあって、計画通りに行かないのが常です。
そのときに軌道修正しながら目標達成を実現する技術がコントロールです。

マネジメントもコントロールも、「この世は思うようにならないものである」という考えが前提にあります。
だからこそ、思い通りに近づけるように調整する技術が必要なのです。
マネジメントは、よく使われる言葉ですが、一般に「管理」と日本語訳しています。
そこからマネジャーは管理者と訳されます。
しかし、この解釈では曖昧で本質からかけ離れています。

ハリウッドの伝説的女優マリリン・モンローの主演映画「帰らざる河」をご覧になったことがありますか?
この映画はマネジメントの意味を知るのに格好の映画です。
モンローは、その美貌に似合わないほどの危険を顧みず、いかだで激流の河を下って目的地に到達します。
一方、モンローのフィアンセも、(よくないことですが)他人の馬を奪って目的地に向かいます。
この彼等の行為そのものがマネジメントの語源です。

マネジメントの意味はマネジが語源で、これは荒馬を手なずけて目的地に到達する、あるいは木を集めていかだを作って河を下って目的地に到達するような意味で使っていました。
つまり困難なことを、自分の工夫で操作しながら目的地に到達する行為をマネジメントというわけです。
ですからマネジャーというのは、なかなか思うように動いてくれない部下を使う人という意味が本来で、マネーを管理する人の意味ではありません。

  マネジメントは思うようならない人の気持を現実に適応させて目標達成するスキル。
コントロールは刻々と変化する状況に適応したことを見つけ出し実行するスキルです。
マネジメントとコントロールの違いを知っているだけでも、随分自分の感情を調整するのに役立ちます。
そして、モチベーションは「やる気はありまっせ!」ということではなく、目標達成の暁まで、マネジメントとコントロールを粘り強く継続させるスキルです。

この三つは順調な時にはさほど必要がありません。
困難になるほど必要になり、その真価が光り輝きます。
うまくいかずに弱音を吐いて投げだしたくなる時に必要になります。

 三つのスキルは、困難と向き合うほど磨かれる構造になっています。
好きこそモノの上手なれと言われる所以もそこから来ていて、本質は好き嫌いが大事であるわけはありません。
重要なのは、困難に際しても、ギブアップすることなくやり通せるかどうか。継続は力なのです。

ですから、いまの自分や自分の状況を基準にして考えても答えが出ません。
先のことは分らないけど、いろいろあってもやり通すかどうか。
達成のプロセスで、スキル不足が生じたときに、自分で補い乗り越えるコミットメントが問われているといえます。
コミットメントは適切な日本語のない単語ですが、不退転の決意と思っていいでしょう。それが行動を起こす前の「最初の約束」になります。
でもやってみないと分らないことを、最初にやり抜きますか?と問われて「やり抜きます」となかなかいえない。
ここで勇気のなさを感じて、脱落していく人が多いのは事実です。
先が見えないことは誰だって怖い。

マネジメントとコントロール、どれかひとつだけ高いスキルを身につけていてもうまく機能しません。
低いスキルが高いスキルを引っ張ってしまいます。
モチベーションが高くても、具体的にどうしたらいいのかコントロールできないと、イライラ、感情的になり投げやりになります。
自分をマネジメントできなくなると、盛り上がっていたモチベーションもやがて下がってしまいます。
その逆もあります。具体的にどうしたらいいのかコントロールの仕方を知っていても、状況にふさわしくない感情的な行動をするとマネジメントができなくなります。
結局、よい結果が出なくなりますので、やはりモチベーションは下がります。

このように、三位一体のスキルを使いこなすことが、じぶん力と言えます。
三つのスキルは「自律心」を構成していて、「自律心」は後で説明するライフスキルの土台です。

ところで、じぶん力、ライフスキル、自律心、どんな呼び方をしても、何をしたらそれを身につけられるのか、さっぱり分かりません。
しかし、モチベーション、マネジメント、コントロールというように分けると車の免許をとるように具体的に学習できます。

ほとんどの人が、日々向かっている方向は、自分が価値ある存在だと感じることができる場所です。
それはどこか違う場所にあるわけでなく自分の手許にあります。
どうしたら、いまより自由闊達に暮らしていけるのか、誰しもが興味を持ちますが、「自分探し」が人気のあるようになかなか見つからない。
しかし、お立ち会い!「じぶん力」を使うことで驚くべき真実が発見できます。

人の幸福とは、モチベーション、マネジメント、コントロールを駆使して、自律心を身につける作業そのものだと言えます。
先に、達成のプロセスで、スキル不足が生じたときに、自分で補い乗り越えるコミットメントが欠かせないと言いました。
それは思うようにならないときに、スキル不足を補い乗り越える作業そのものが幸福そのものだからです。
なぜなら自律心の向上なしに、スキルアップはできないからです。
自律心をもって、事にあたるとは、自分が自分を思うように使うことを意味します。
何事かを成し遂げるときにこそ、ライフスキルは育ちます。
山に登るプロセスが幸福そのもので、山の頂きから見る光景や空気、達成感はプロセスに比べたら小さなもので、ちょっとしたおまけでしかないというような話です。

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