マネジャーの役割

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【56】マネジャーの役割
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ほとんどのひとは気がつきていませんが、ひとはライフスキルの充足を求めている。
ライフスキルの充足こそが幸福なのです。

スポーツの国際試合を観ていると分るように、それぞれの国民は涙をながすほど自国のチームを応援します。
人はどこかに所属したいのです。自分が所属できる共同体を求めます。
国、会社などの団体、家族・・・共同体に守られていると思うと安心し、貢献できる力が自分にあるとうれしくなります。
人は安心と承認そして一体感を求めています。

だから、
�目標を共有し、仲間と一緒に取り組んでいる一体感
�一体感を生むコミュニケーシヨン
�やればできるという成功体験と目標の達成による自信
�自分の考えで仕事ができる権限と責任の両立
�他者からの励まし

どのようなビジネスの成功もこれらを抜きにしてはありません。
だから人を使って目的を達成するリーダーは部下のサポートに専念することが多く、達成感によってライフスキルの獲得ができるように、ひとりひとりの役割のプロセスをサポートします。
つまり、部下に経験が乏しい時期にあっては、実際の達成者はマネジャーといっても過言ではありません。しかし表には出ません。あくまで達成感を覚えるのは部下なのです。
その経験を通して、徐々にサポートなしでもスタッフが達成できるように体験させていきます。
教育期間中の教育を別にして、マネジャーの大きな役割はモチベーションを高め続けることです。
「人を孤独にしない」という課題は会社の価値観に織り込むテーマです。
モチベーションを引き出すとは、安心する立場を超えて、君にも貢献できるんだよと知らせ、貢献を実現させることに他なりません。
マネジャーがするサポートとは次のことです。

1) 目標を達成にコミットメントする
2) 達成可能な計画を策定して、その実行の指示をする
3) 実行できるように必要なスキルを身につけてやる
4) スタートから終わりまで、そのプロセスすべてにコミットメントする
5) 成果のフィードバックを欠かさない
6) 科学的な思考手順を使って問題を気づかせ(発見)〜解決させる(一緒にする)
7) 感情的にならない(中・長期)
8) 自立させるために自律心を育む(中・長期)
9) 価値観を共有する(中・長期)
10) 評価の適正化(中・長期)

(中・長期)と書いてあるものは、効果がでるのに時間がかかるという意味です。
つまり絶えず継続してサポートするべきものです。
もちろんそれ以外のことも継続が必要ですが、速効性のある効果が求められるものです。継続がで効果はより大きく速くなります。
リーダーがするサポートですので、リーダーにサポートできるスキルが求められます。
しかし、どのスキルも特に困難なものはありません。
困難にしているのは、リーダー本人の資質よりも会社内に問題解決にコミットメントしない仕組みなのです。
リーダーの問題にもなるわけですが、卵が先か、にわとりが先かの話になってしまうので、気がついたときが取り組むチャンス。
最低でも月に1回は必ず議題にして問題をつめる仕組みをいますぐ実行してください。

先のサポート10項目の内、なにが大きな問題かというと、
「3.実行できるように必要なスキルを身につけてやる」ができないのが一番多い。
なぜなら「2.達成できる計画を策定して、その実行の指示をする」ことができないからです。
どうすればいいかというと、「1.目標を達成させることにコミットメントする」のです。
それには「目標を達成することにコミットメントする」しかない。コミットメントして遂行能力を身につけるしかない。遂行能力がないと計画作成ができないので、本当に必要なことを指示したり教えたりできないままになる。すると将棋倒し式にチームの全員ができなくなる。

リーダーのほとんどはいまと違う結果を出すために改善が必要と感じています。それが実行段階で止まってしまうのは、自分が変わること必要に気がつくからです。
しかし、従業員のほとんどが、いま一番求めているのは時代に適合するために自分が変わることです。リーダーに自分と自分の周りを変えてくれることを期待しているです。

その克服に、価値観がどうしても必要なのです。価値観は「コンセプト」の形で表現されたりもしますが、羅針盤の役目をします。
なにをすべきか、どのようにすべきか、ひとりもでも多くの従業員との間でコンセンサスを得た価値観は企業活動の原動力になり、顧客にも共感され支援されます。
特に商業の世界は家業・生業が多いため社会的使命感が乏しい傾向がありました。しかし、いまでは大都市VS地方、スーパーVS商店街の実態を観ても分るように大資本の波が席巻しています。資本という壁は易々と越えられるものでではありませんし、メーカーがベンダーとしての役割を果たさないという事情もあるかも知れません。それにしても価値観は誰に邪魔されるものでもない。自由です。社会的使命感は自分たちで持てるし、自分たちの使命感は自分たちしか意志できない。
リーダーが部下にサポートできるスキルを身につけようとしたら、自分が人になにをしてあげられるかというテーマに向かい合わないと解決しません。
自己実現に舵を切ることこそ、出発点であって、「自分にはできない」ではなく「自分にもできた」という実感を手に入れるための行動を起こすのです。

車や家など欲しいものを手に入れることは、働く原動力になります。しかし車や家などのように、一般的に顕在している意識している「やりがい」には限度があります。
人は自分のために働くことには限界があります。
報酬以上のやりがいがあるのも本当です。

有名な青い鳥の話があります。
幸せの青い鳥を手に入れるために旅に出て探したけれど、見つからなかった。実は旅に出る前から自分の部屋に住んでいたという話です。
一般に仕事は苦、遊びは楽というステレオタイプのイメージが定着していているため、いきがいを仕事の外に求める方が多いのですが、必ずしも正解とはいえないのです。
この件はライフスキルの章で説明しますが、実は働くうえで必要なスキルは、実は「いきがい」そのものなのです。


モチベーションを引き出せる人とは、励ましのできる人です。
叱ることは励ましでないと意味をなさないのです。怒ることに励ましがありません。
では、相手が悪いのに怒ってはいかないのでしょうか?この考えが原因志向を意味しています。目的志向であるなら、こう考えます。怒った先になにがあるの?怒った先には痛みがあります。叱った先には互いの成長、よろこびがあります。
励ましとは、言葉の上だけで「がんばれ」と言うことでなく、熱意に裏打ちされた自然な態度、表情、行動を言葉と一緒になって発信できる人です。

励ましができる人の特長は
・ 自分を自分の味方にできる(自己肯定している)
・ 自分の能力を確信している
・ チャレンジを恐れずリスクを冒すことをいとわない
・ 自立心が旺盛
・ 自分の欠点や弱さを客観的に認めている
・ 自分の感情をコントロールできる自律心を身につけている
・ 失敗や挫折を学習の機会ととらえる
・ 将来に自信をもっている
・ 自分と他者、ひとりひとりの違いを客観的に認めて尊重できる
・ 他者との関係が協力的で共同体を尊重している

これらの条件は、優れた経営者やリーダーに共通した特性ですが、人の交流パターンには、以下の4つがあるといわれています。
・ 自分はOK,他人もOK(自己肯定、他者受容)
・ 自分はOK,他人はNO(自己肯定、他者否定)
・ 自分はNO,他人はOK(自己否定、他者肯定)
・ 自分はNO,他人もNO(自己否定、他者否定)

励ましができる人の基本的な交流パターンは、「自分はOK,他人もOK」です。
自分も他者もそのまま受け入れることができます。
できない人の交流パターンは、「自分はNO,他人もNO」なので、自他ともに信頼感がなく、人を育てることができません。

人は誰しも親の心、大人の心、こどもの心の「三つの心」を持っていて、三つの心を状況で使い分けながら交流しています。
モチベーションを引き出すことができる人は、自分も周りの人も同じように尊重した上で、三つの心を状況に応じて、適切に使い分けながらコミュニケーションができる人です。

親(父・母)の心からは、
・ 相手に対する尊敬と信頼でモチベーションを引き出すことができます。(信頼)
・ 楽観的(ポジティブ)
・ 具体的
・ 結果よりもプロセス重視

大人の心からは、
・ 目的志向(成果主義
・ 聞き上手(対等感)
・ 大局で考える(楽しく我慢ができる)
・ 集中力

こどもの心からは、
・ ユーモア

励ましができる人は、以上のような特長を使って、人格を認め、個人の価値観を認め、信頼をしてくれます。その上で失敗を非難することもなく受け入れ、可能性を信じることができます。
モチベーションは、他者の価値観を認める対等感。さらに能力を信じることで引き出すことができます。目的を達成する上で不足する能力は、トレーニングで補って部下を育みます。

励ましができる人とできない人には、次のような違いがあります。

この違いは、ライフスキルの違いから生じているものですが、なかでも自尊感情が弱いのが最大の問題といえます。
実は、部下が求めている安心と承認そして一体感をマネジャー自身が求めているのです。
そこで、立場上強いマネジャーが、部下批判へ走ることが起こり対立が起こります、

会社の規模によりますが、小さな会社ならこれが「会社の限界」になります。

でも本当は、両者とも人格を認め、個人の価値観を認め、信頼されることを期待しているのです。
つまりライフスキルの充足を求めている。ライフスキルの充足こそが幸福なのです。
ひとの上に立つ人間が、なぜ孤独なのかといえば、甘えたい欲求を抑圧して、部下のそれを満たしてやろうとするからです。
それが逆になったら、部下が孤独になって、どんどん辞めてしまう。

自分探しって言うけれど、ライフスキルが全然不足している自分を探したって意味がない。
つまり自分探しって、目的に向かって自分ががんばるしかない。がんばればライフスキルは自然に身につきます。
すると、なにをしたらいいのか分らないという贅沢な悩みが出てくるけれど、別に目的がなくてもいい。
目的があるからがんばるのではなく、がんばるために目的を必要としているだけのこと。
目的があるほうががんばりやすいでしょう。だから目的がないからがんばれないといってはダメなのです。

主食はがんばることで、おかずが目的です。空腹だったらにぎりめしでも最高のグルメになります。
幸福とはなにかを間違えるから、がんばることは悪になったりする。
幸福は消費と休息だと思い込んでいるひとに、会社のためにがんばれとか、わけの分からないことを言うからがんばることが問題視されたりする。
でも、自分が求めている幸福そのものであるライフスキルは、がんばらないと身につかないのです。

「ライグスキル」の重要性を説いても、真剣に聴こうとさえしない方がいますが、いくら先取的なシステムを導入しても、人間の基礎ができていないと会社がぐらつく。
気をつけたいものです。



おどろきを発見する旅もライフスキルを身につける機会。
ニュージーランド10日間1万円の旅。

Copyright (C) 2002-2008 GENKIPOLITAN All rights reserved