考える技術

生きる力であるライフスキルは、世界保健機構が定めた生きるために必要な技術です。
ライフスキルで自分を動かす」は、ビジネスシーンで、ライフスキルをセルフマネジメントしていくことで、じぶん力を余すことなく発揮できるようにすることを目的に編集しています。
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【55】考える技術
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目標達成がうまくいかない原因には、心がまえの拙さがあります。
背景には自己肯定感の不足、不安、孤独感からくるストレスによるやる気の弱さとライフスキルの未塾さと共に考える技術があります。


「結論は思考を積み重ねた末に出るものだ」と思いがちですが、それも場合によりけりです。
すでに答えが出ているものがたくさんあります。
情報化社会と言われる現代では、すでに出ている答えの発見こそ価値があるといえます。すでに出ている答えを使わず、わざわざ時間をかけて考えた末に、想像もつかなかったような結論、つまり発明に至ることはまずもって稀で、出て来た結論は欠陥だらけの場合が少なくありません。
そもそも発明というのは、模擬の延長にある場合が殆どです、
ですから、すでにある答えを謙虚に使い回すことが時間の節約になりますし、結論に辿り着く早道です。

人は考える時に、自分の価値観に影響を受けます。
一般に「あの人の考え方はおかしい」とか表現する場合、価値観のことを指している場合が多いようです。
価値観は体験によって培われている場合が大半ですが、同じような体験をしたら同じ価値観を持つわけでもありません。
「考え方」によって変わるのです。
ここでいう考え方とは考える技術のことです。
一般に意識しませんが、考え方の技術には「演繹法」と「帰納法」があります。

よく優秀な学歴をもった人が、「なんでこんなことも判らないのだろう」と思うことがあります。逆に学校の成績は悪く、学歴はないけれど、頭脳明晰という人もいます。
特に日本の学校教育のように詰め込み一辺倒、つまりすでにあることをマスターするに終始し、議論することせず、考える機会をあまり持たない教育をしているために、成績はいいけ考えることは得意でないということが起こってきます。


演繹法 (えんえきほう)

演繹法は三段論法とも呼ばれています。
ルールや定理、法則を使って考えるのが特長です。
たとえばこんな感じです。
野菜は栄養がある。にんじんは野菜だ。だから、にんじんは栄養がある。
あるいはポルシェは高い。高いものは金持ちしか買えない。だから所得の少ない人はポルシェに乗らない。
あるいはポルシェは高い。高いものは金持ちしか買えない。
だからセルシオに乗っている人も金持ちだ。というように展開していきます。
だから三段論法とも呼ばれます。

演繹法による考えは理路整然として、すっきりしたイメージがあります。
すっきりしている分、融通が効きない難点があります。
ですから、一度、道に行きづまってしまうと考えられなくなり、行き止まりになってしまいます。
性格的に真面目な人ほど融通が効かず、行きづまる傾向が強いようです。
融通が効かず、行きづまっていることに気がつくようであれば、違う考え方を求めることもありますが、他の考え方を容易に受け入れられないのも真面目な方の特長です。
売り込みされたら自分は困る。売り込みは迷惑だ。だから、自分が人に売り込むのは他の人にとって迷惑だ。というような考え方をします。
これは違う角度から見ている他人には、もの凄くごう慢な考えに思えたりもします。
「万能の神でもないのに自分と他者を同一化した考え方で、一体お前は何様だ」というようにです。
よく職人気質といいますが、日常的に、あるルールを使って作業を進めることが多いので、どうしても頑なになりがちです。
車の部品は悪くなるまで交換することはない。悪くなるまで交換しなくていい。
悪くないのに交換するのはよくない。というように固定観念で物事をとらえがちです。
実際には、世の中にはそうでないことがたくさんあり、人を幸福する考え方は他にもあるのが真実です。
それにしても自分が日常使っているルールにはないので、融通が効かなくなります。
その分、固定観念が強いので、学習効果が乏しいのも特徴的です。
ですから普段から演繹法でしか考えない人同士が意見対立すると収拾が困難になります。また権力を持って最終判断をする立場にある人が、そうである場合は事態が悪くなることが少なくありません。



帰納法(きのうほう)

帰納法は、様々な事例を見ながら、そこに法則を発見するプロセスを踏むという点で演繹法とかなり違います。
車を例にして考えるなら、いろんな事例を見ることから始まります。
車種と使っている人の関係を見ることで、共通点を発見することが可能になります。
金持ちは共通して高級車に乗っていることを発見することができることから、金持ち高級車を好むことが高いことが分かってきます。
次に金持ちに照準を合わして観察すると、金持ちだけど安い車に乗っている事例も発見します。
すると高級車を使わない金持ちには、無駄と思うことにお金を使わないという違う共通点を発見します。
次に車に照準を合わせて観察すると、金持ちでない人が、高級車に乗っている事例も発見します。
今度は高級車を使う人に共通した考え方があることも発見できます。
野菜の場合でも同じで、共通点として栄養以外に「光合成」という機能に着目する可能性もあります。
その機会を得たことで野菜は光合成を行うという結論を出すこともありえます。
このように帰納法の場合は、共通点をいくつも発見できる可能性がありますので、複数の共通した要素を発見することも可能になります。
違う要素を発見することは、可能性の発見に他なりません。
ですから帰納法は可能性を発見するための考え方ともいえます。
だから行き詰まったら突破口の開けやすい、帰納法を使えというわけです。

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