自立性を育む教育

じぶんぢから再生プロジェクト ゲンキポリタン
株式会社マートワン

ブログ 愛ピDIRECT「ライフスキルで自分を動かす」は、ひとが健全に生きて行くために世界保健機構が定めた「ライフスキル」を仕事を通して身につける方法についてレポートしています。
ライフスキルは、生きる力であり、技術です。
人は基本的な生きる構えの影響を受けていて、ひとによって不足、アンバランスがあるものです。ブログ 愛ピDIRECT「ライフスキルで自分を動かす」は、「ライフスキル」の不足を補いバランスを調整するために仕事、学業、人生の大事な場面などの機会を通して身につけることをめざしています。


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【48】自立性を育む教育
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教育の目的は、個人個人が自立できること、目標管理ができることにあります。
自己啓発の目的も同じです。
目標設定、達成できる行動計画、行動のマネジメント、プロセスで起こる様々な問題をコントロールができるスキルを身につけることにあります。
その具体的な手法はO.J.Tが中心です。
セルフマネジメントの場合も同じで、体験を通して計画→実行→検証→反省を繰り返します。反省とは問題点を改善して計画することです。

結果を変えるには行動を変えるしかありません。
この事実はシンプルで分りやすいものだけど、いざ実行となると非常に困難です。
目標に適した行動計画を立てても、実際にはその通りに行動できない場合が多いからです。
いくらトップがビジョンを掲げ方向性を示し、目標を立て、幹部が目標管理の仕組みを策定しても、従業員がやる気を出さず行動しなければ、水泡に帰することになります。
意識を変えないままに仕組みをいじくっても成功しません。
仕組みを作ったから、「さあ、やりなさい」式が多いのですが、これでは機能しません。

新しい変化への活動が思うように進まないのは、自分が変わることへの拒否があるからです。
ディスカッションしているときはポジティブな態度を表していても、いざ行動となると変化を拒否するのはネガティブな態度が習慣化しているからです。

人がとっている行動は、メリット、デメリットを考慮する以前に、自分にとって楽な行動である場合が多いものです。
「分っているけどできない」という言葉をよく耳にします。
メリットが分っても行動が変わらないことが普通のように起こっています。
この葛藤の処理を自分でできるようにするのが教育の中核といえます。

具体的にどうすればいいのでしょうか?

まず手をつけるべきは価値観の統合です。
これが教育の根幹となります。
価値観に共感できない状態で、いくらスキル開発を行っても、時間的なロスが多く費用的なロスも増大するからです。
社員であれ、アルバイト・パートであれ、意識を変えるには、新しく入社してきた段階が最適です。
この段階で会社の価値観を知らせ、なぜそのような価値観になっているのかを説明して、それが当人にとってどんなメリット、デメリットがあるのかを対話によって教え、価値観に共感できるように進めます。

しかし価値観への共感がすぐに得られる場合は稀です。
また全員が新しく入社してきたわけでもありません。
その場合は、マネジャーの意識、考え方を変えることからスタートとします。
一般従業員はマネジャーの行動を見て自分の行動を変えることが多いものです。
マネジャー自身が行動を変えるのが、一般従業員の行動を変える早道です。

・ 会社に新しく入って来たときに価値観に共感させる
・ マネジャーが行動を変えることで、従業員の行動を変えさせる

この2つが基本です。
マネジャーの行動を変えるには、コーチングも有効です。

コーチングは、自立を目的としたマネジメント・スキルです。
コーチする側が上司です。コーチする人が、コーチされる側の人に、効果的な質問をすることにより、本人に気づかせることで、本人が考え、選択し、行動するように誘導する手法です。
問題への気づき→思考(自問自答)→意志決定(選択)→行動→検証のサイクルを回します。
その体験を繰り返すことで、自分でサイクルを回せるようにするのがコーチングの目的です。

コーチングは誰にでも適用できるものではなく、コーチされる側の人の資質も条件になります。
たとえば経験の浅い従業員に対してコーチングを行っても、意志決定(選択)にたどり着くだけの情報を持っていない場合がほとんどですので、気づくことができません。
経験の浅い従業員に対しては、経験させることによって情報を蓄えさせることが先になります。

経験させるには、その義務が果たせるか見極めます。
1)命令を正確に理解できる。それには確実な聞き取り、読み取り、忘れない能力が必要です。
2)命令が明白に表現されること
3)本人に命令が実行できるだけの能力があること
4)事前に不足する能力の発見と、充足する教育と
5)評価が行われる(行われている)ことが必要

義務を果たせない人は、5つの条件の内、どれかが欠けています。
しかし5つの条件の内、1)以外の4つの条件は上司側に原因があるものです。

セルフマネジメントの場合、自分独自の価値観と普遍性のある価値観とのすりあわせが欠かせません。それにはできるだけ読書することです。
読書は時間と場所の制約から解放されてひとの意見を聴くのと同じ効果があります。
そしてダイレクトにひとと会話することです。
多彩な価値観に接触することで、自分の価値観が確かなものに変化し続けます。
また集めた情報は、帰納法で考えるときに役立ちます。

経験を獲得するには、能動的に機会を見つけて積極的に参加することです。
経験を体験にステップアップするには傍観者の立場でなく、当事者の立場に立ちます。
たとえば学生アルバイトが学生アルバイトの立場でアルバイト先の仕事を経験しても経験止まりです。これを体験にステップアップするには、学生アルバイトの意識を捨て店長の立場、それが難しいのであればリーダー的な存在の先輩、たとえばサブ・マネジャーの立場で考え行動することです。

裏を返せば、あなたがサブ・マネジャーであれば、学生アルバイトに、サブ・マネジャーの立場で仕事してみろとトレーニングさせることもできます。
実務面でのスキルがないのは当たり前なので、サブ・マネジャー代行は出来ませんが、サブ・マネジャーの考え方、行動の仕方を教えることはできます。相手の価値を値引きせずに、逆にどんどん値増しすることを習慣にしたい。
これは自分に対してもそうです。

とにかくひとはいまいるポジションに安住するのではなく、出塁したプロ野球の選手のように、隙あらば、次の塁をめざす意欲を習慣にしたいものです。

義務を果たせない場合はどうするのか、以下の点に留意、問題を明確にして対策を実行します。対象が部下でも自分自身でも同じです。

・ なにが出来なかったか、その原因として本人にどのような過失や怠慢があったか
・ どうしたらよかったのか
・ 同じミスを起こさない為に、今後どの部分をどう変えたらいいのか
・ 反省
・ 義務違反が起こった場合は、なぜそうなったのか、上司側または本人側の反省が必要。

ここでいう反省とは、具体的な問題と対策を出すことです。
自分や他者を責めている時間があったら、手を打てというのがルールです。
部下を持つマネジャーなら、自分の誘導によって、本人に具体的な問題と対策を確認させることが「反省」です。
セルフマネジメントの場合も同じで、自分が反省する機会(時と場)を作って、上の項目をヒントに具体的な問題と対策をひねり出します。

以上のことを機能させるための教育、成長のO.J.Tです。
O.J.Tは変化を受け入れさせる教育、受け入れる機会の発見として有効です。

積極的にライフスキルを身につけて、自分を伸ばすそうとする場合や、マネジャーの役割を自分で行うセルフマネジメントを行う場合、以上の点を注意してください。


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